ORANGERANGE
誰でも一度は聞いたことはあるであろうバンド、ORANGERANGE。
2003年から2005年ごろまで出すシングル、アルバムすべてにおいてオリコン首位を取り続けるという、ジャニーズ48tribeに染められる直前のヒットチャートで一世を風靡した…いや、三世は裕に風靡したバンドである。
最大のヒットシングル、花は映画「いま、会いに行きます」の主題歌となり出荷枚数でミリオンというちょっとしょっぱい記録を打ち立て、その花が収録されたアルバムmusiQは売り上げ290万枚と、ここ十年のオリジナルアルバムの中ではトップクラスの売り上げを記録。こちらでは全然しょっぱくない記録を打ち立てた。しいて言えばあと10万枚売れとけよと。
バカ売れしたORANGERANGEだが、2006年のチャンピオーネがNHKのワールドカップテーマソングとなって以来、表舞台から姿を消す。
当時彼らに対する盗作疑惑が噂され、その風評被害にあった形である。
本当はチャンピオーネ後もアニメやドラマの主題歌になったりと比較的大々的な活動はしていたのだが、深夜帯だったりということで一般に認知されることはなくなったと考えていい。
そして2008年、ORANGERANGEは自社レーベルを立ち上げ、インディーズに戻って行った。そして今に至るわけだ。
さくっとバンド紹介
現在の編成は、ボーカル3人にギターとベースだ。
ボーカルの声の高い順にYAMATO。HIROKI、RYO。ギターがNAOTOでベースがYOH。
全部ローマ字表記のところになんとなく2003年感を感じずにはいられない。
以前はドラムのKATCHANって人もいたんだけど音楽性に齟齬というありきたりすぎる理由により人気絶頂2005年に脱退している。
彼らに出身は沖縄県だ。
当時沖縄ブランドがとんでもなく隆盛した時代である。バンドだとMONNGOL800や山嵐、kiroro。ドラマでもちゅらさんがあり、その流れで国仲涼子、また、ごくせんで仲間由紀恵が売れた。
そうしたOKINAWANカルチャーフィーバーに沸く中、登場したORANGERANGE。時代の流れにも押されて一気に売れて行った。
BUMPと同じように、彼らも保育園から一緒のなかよしさんバンドである。バンド結成の流れはBUMPと非常に近いところがあるのでこちらも参考にしてほしい。
体中の知識フル動員でBUMP OF CHICKENの4thアルバムの解説をする。 - 徒然雑草
どんな音楽をするの
ORANGERANGEの代表曲は?と聞くと、ロコローションやお願い!セニョリータ等の夏曲を想起する人と、花やラブパレードのようなバラードを想起する人がいると思う。
大体売れている曲は夏曲かバラードだが、実際に彼らのオリジナルアルバムを聴いてみると、アップテンポなルンルンラップミュージックとバラードだけで構成されているわけではない。割と引き出しが多い。割とというか、多い。
これはひとえに作曲を担当するNAOTOの力によるところがある。
彼は典型的な音楽大好きっ子らしく、ベッドの上以外はすべてCDみたいな部屋で学生時代を送ったそうだ。そこで培われたグッドリスニング力が作曲の引き出しの多さに直結していると思われる。
そんなことを書いた記事がこんなところに
NAOTOに関しては二人の兄もRYUKYUDISCOというユニットを組ん音楽活動をしている。クラブミュージックかな?
グッドリスナーとしてのNAOTOがあまりにも素直に感性を働かせた結果が例の盗作疑惑だったということらしい。まぁ、気持ちはわかるよ、うん。
作る曲の幅が広いってことで、いわゆるミクスチャーロックというジャンルに属する。ドラゴンアッシュのkjのカリスマ性を五人で割った感じでしょうかね。
何しろ三人も歌い手さんがいるから、いろんな声が飛んでくるし、はもれる。決して歌がうまいわけじゃないし、ラップがうまいわけじゃないんだろうけど、なんかそれっぽく聞こえる。良質の曲のなせる業か。
これまでに出したアルバム
大ヒットアルバムmusiQがセカンドアルバムなのだが、それから十年の時が流れ、彼らのオリジナルアルバムは総枚数9枚を数える。インディーズ時代のものを含めると10枚。立派なベテランバンドである。
本当は全アルバムに対して全曲解説したいんだけどパソコン重くなって面倒なので次回に譲ることにする。ざざーっと、アルバムごとの特徴を。
0枚目 オレンジボール
バリっバリのインディーズ時代。
沖縄の米軍基地界隈のライブハウスでよくライブをやっていたらしい。
後にセルフカバーされる楽曲(キリキリマイ・ベロシティー)の原曲が入っているあたりファンにはうれしい。
5曲目の中毒と7曲目のファンクテューンが圧倒的にかっこいい。当時彼ら高校生なんだがしかし、後に290万枚を売り上げる片鱗チラリズムだ。
きちんとバンドをやってるアルバム。
1枚目 1st CONTACT
記念すべきメジャーデビューアルバム。
スマッシュヒットを記録した2曲目に収録の上海ハニーがリード曲。
全体的に、ヒップホップな色が強い。そのためとりあえず韻踏んでラップ入れとけな楽曲が多い。歌詞の文字数は多いながら、曲の幅はこのころから広く、10曲目のO-MO-Iではなんちゃってレゲエを、5曲目のサムライマニアはワウワウサウンド、9曲目のパーリィナイッではなんちゃっダンスミュージックを聴かせてくれる。
おすすめはサムライマニアとTWISTER
相変わらず、バンドをやっている。
2枚目 musiQ
- アーティスト: ORANGE RANGE,Gerry Goffin
- 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: CD
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これに関してはだな。
後日改めてしっかり記事を書こう。決めた。
彼らの中でもぶっちぎりに売れたアルバム。前回のアルバムから何が変わったかってキャッチーな曲が圧倒的に増えた。ラップぶち込んどけな風潮が少し変わって、メロも入れるようになってきた。メロとラップとのバランスがうまく取れて、社会の流れに乗った結果の大ヒットアルバム。
曲の幅も広い。そのあたりは未来の自分に解説を任せる。
3枚目 NATURAL
- アーティスト: ORANGE RANGE,RYO,TKC,アルシオネ,Josh Deutsch
- 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2005/10/12
- メディア: CD
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- かる
musiQからたった一年で完成させた3枚目。これも200万枚ちょっと売れる。バグってる。
大ヒットシングルを多数収録している力はだてではない。ちなみにここから5人編成。
先行シングルとして出された、アスタリスクやラブパレード、お願い!セニョリータ、キズナに代表される、売れ線曲路線を残し、だんだんとNAOTOの好きな曲をやりだしたアルバムだ。
一曲目のyumekazeはものすごくきれいなメロのボーカルにウェットをかけて歪ませている。普通に考えたらもったいないことをやりたいNAOTOのちょっと歪んだ音楽遍歴が見え隠れする。
6曲目の雨ではジャズっぽいことにも挑戦している。割と三人のボーカルとはまっているから驚く。
11,12,13曲目のsunrise,U topia,BETWEENでNAOTOの自己満足を見ることができる。この路線の曲が好きだという人が淘汰されずにORANGERANGEを好きでい続けているはずだ。売れ線ではない。間違いなく。
そしてだんだんとバンドじゃなくてもいい曲がちらほら見え出す。
おすすめはyumekaze、CRAZY BAND、U topia、Natural pop
4枚目 ORANGERANGE
- アーティスト: ORANGE RANGE,GOD MAKING,ソイソース,ペチュニアロックス
- 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2006/12/06
- メディア: CD
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バンド名を冠した意味深なアルバムだが何のことはない。
人気が落ち着いてきて、なんと35万枚の売り上げ。落ち着きすぎである。急に酔いがさめちゃった感がある。
しかし、依然曲の幅も広く、ボーカルの歌も上手くなってきていることが確認できるアルバムだ。
このころからバンドの面とバンドを放棄する面が見え出す。
ちゃんとバンドをしてる曲と言えば2曲目のチャンピオーネや4曲目のFAT、11曲目のUN ROCK STAR、14曲目のGrate Escapeが挙げられるが、3曲目のDANCE2なんかはギターは全く鳴らない、ピコピコテクノミュージックだ。9曲目のSo little timeに関してはサビがなんなのかわからん。売れ線から脱線した。
石野卓球が大好きだというNAOTOの真の姿が現れつつあるアルバムといえる。
オレンジレンジもう一回聞いてみたいわーって人に再発見のためにも是非お勧めしたいアルバムである。
おすすめはMiracle、FAT、everysing、LIGHTS、Grate Escape、STEP BY STEP
5枚目 PANIC FANCY
可愛いアルバムだ。キャッチーさを追求するような。
曲ごとに見ると聞きやすい曲が詰まっているのだが、アルバム自体としてみると、前回までのアルバムの方が完成度としては高いように思う。あまりに可愛い路線に走りすぎてる感がある時期だ。
それでもシングルカットされているO2は彼ら史上有数の疾走感を感じさせてくれる曲だし、14曲目のドレミファshipのただひたすら明るい感じも何も考えないで聴けるから楽である。
白眉は9曲目の5。5人が好き勝手作った曲を一曲にまとめた曲である。一人一人のやりたいことが如実に表れていて面白い。好きになったら必聴。
バンドは放り投げ気味。
おすすめはbeat it、5、O2、ドレミファship
6枚目 world world world
- アーティスト: ORANGE RANGE,ソイソース,ペチュニアロックス
- 出版社/メーカー: SMR
- 発売日: 2009/08/05
- メディア: CD
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メジャー最後のアルバム。
バンドじゃなくていい曲がついにバンド曲を上回る。NAOTOの好き勝手アルバムである。
しかし前作よりすっとアルバムとしては聞きやすい印象を覚える。
アルバムの入りがthe mapという曲なのだが、ORANGERANGE史上初のミディアムテンポでダークなカラーの曲で幕を開ける。大人になった感。
そこからFACTORY,KIMAGURE23,おしゃれ番長と続く流れは、musiQ当時のバカ売れ時代と何の遜色ないラインナップである。ファンはそう思う。
べたべたなバラード曲、瞳の先にが収録されており、これがメジャー最後のシングルとなっている。このころのNAOTOが作るバラードはもうラブパレードのころの切れがなくなっているように感じる。バラードの引き出しが枯渇したか。
彼も理解しているのか、作りたくなくなったのか、これ以降インディーズでべたべたバラードはほとんど書いていない。
おすすめはFACTORY、KIMAGURE23、ジャポネーゼ、IKAROS
7枚目 orcd
- アーティスト: ORANGE RANGE
- 出版社/メーカー: SUPER ECHO LABEL
- 発売日: 2010/10/20
- メディア: CD
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インディーズカムバック 1stアルバム。
1st CONTACのころはバンドという体制でいろんなこと出来るアピールをしていた彼らがバンドじゃない表現方法を得たのちに、1stと同じことをやったアルバムという位置づけを勝手にしている。
一曲目のヤーヤーヤーからして人を選ぶ。嫌いな人は嫌いだろうきっと。売れ線から脱線したどころか、なんだ、銀河鉄道の旅に出たようなぶっ飛び加減だ。まさか花を書いた人と同じ人が書いているとは思えない。佐村河内を疑うレベル。
歌謡曲メロディが綺麗にはまった今夜はtonightはこのアルバムのベストソングだ。是非聞いてほしい。スゲー聞きやすい。
売り上げは1万枚ほど。過ぎたるは及ばざるがごとし。
おすすめはヤーヤーヤー、今夜はtonight、今すぐMy way、2か月ぶりのHoliday、Insain
8枚目 NEO POP STANDARD
ORANGERANGEがついにバンドを辞めたアルバム。
全編通して楽器は一回もならない。全部電子音。
ベースのYOHはこのアルバムで作詞を手伝った以外の事はしていないというNAOTOの独走っぷりだ。
しかしテクノかといったらそんな偏った曲ばかりではない。リード曲のHello Sunshine,Hello Futureであったり、10曲目のBaby Babyなんかはキャッチーでとても聞きやすい。でもきっとNAOTOがやりたかったのは2曲目のSunwayや7曲目のDry Hardのような曲なんだろうなと察する。
ヒットチャートにこびないORANGERANGEが好きな人にはこのアルバムがおすすめ。
おすすめはSubway、Warning、Dry Hard、Baby Baby、Backpack
9枚目 spark
最新アルバムである。去年の夏発売。
アルバムから、サディスティックサマーが日テレお昼の番組pon!の夏のテーマソングに使われて、久しぶりのタイアップとなった。
前作でピコピコをやりきったのか、バンドサウンド重視である。
7曲目のトーキョーガールズコネクションや11曲目のオボロナアゲハでは昔懐かしなラップの掛け合いを披露してくれている。うまくなった、うまくなったよ。
9曲目には久々に書いたNAOTOのべたべたバラード、もしも。コード進行でちょっとひねている感はあるけれど、聴き手としても久しぶりのバラードは新鮮である。
そして是非聞いてほしい10曲目のソフトテニス。
おすすめはマイペース、リフラフ、トーキョーガールズコネクション、ソフトテニス、オボロナアゲハ
以上10枚が、これまでにORANGERANGEが発表したアルバムたちだ。
どれも愛すべき作品だが、無人島に持っていくならORANGERANGEを選ぶだろうな。ううん、なやましい。
なんでこんなことを突然やりだしたかって、これから彼らのライブに行ってきます。
中学2年の頃、人気絶頂時代に北見市民会館を奇跡的にツアーで訪れ、それに行ったのが初めてのライブだった。懐かしい。
それ以来のORANGERANGEである。丸8年人知れず日陰で追いかけてきたこの歴史を、日々を、ぶちまけて踊ってきたいと思う。
高まっています、こちら世田谷でした。
地元は今大雪です。どんまい。