徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

日曜日電車内スクリーム

平日、あれほどまでに口をへの字にして仏頂面のクールビズサラリーマンがカラスのごとく一列に並ぶ電車内だというのに、休日だからなんて安直極まりない理由でスタンディング待機スタイルの人々も多幸感に溢れる声色と笑顔を見せている。人垣のせいで視界不明瞭な車内を見渡すも、ネクタイを締めている人間は僕を置いて1人としていない。皆、思い思いのサンデーモーニングを過ごしている。喝を入れてやろうか。かぁぁぁつ!

夏が始まった。日本各地で猛暑日猛暑日。もうどうしようもない日の略が猛暑日なんじゃなかろうかと思う。二進も三進もどうにもホットドッグである。目の前の女性の頬が赤いのは暑くてゆでダコの為なのか、張り切りチークの為なのかは彼女しか知らない。7月いっぱいが梅雨で潰れたからか、夏を待つボルテージがぎりぎりまで高まっている印象を受ける。去年、電車の中でここまでの孤独感を味わうことはなかった。

海にでも行くのだろうか。半袖にライムイエローの短パンを履いたイカした兄ちゃんは大きな荷物を肩から下げ、背中に回している。隣にはグラサン厚底のお姉さまだ。そのはす向かいには鎌倉のガイドブックを堂々と顔の前に掲げ、ああでもなければこうでもないと、リアルいざ鎌倉に胸を高鳴らせている。御恩もなければ奉公もない、フリーダム鎌倉だ。

方や僕は御恩と奉公ガチガチの統治体制を敷かれている株式会社へと向かう。近からずとも遠からず、遠からずとも近からずな絶妙ディスタンスを会社と保ち続けながら、今日も元気にワークワーク。胸は特に高鳴ってはいない。


たくさんの人の楽しみと少しのけん怠を運びながら、電車は走る。無情にも目的の駅へとたくさんの体を運ぶ。駅が近づくとどこからともなくアラームがなる。寝ていたんですね、お疲れのところご苦労様です。お仕事ですか?アラームの主の彼女はビッタビタのワンピースを着ていた。お約束のサングラスである。くそう!くそう!

始業のアラームもまた、鳴るのであった。