時を経て、紅白にも出場、ドラマにCMにタイアップしまくって、メディアにも出まくるBUMP OF CHICKENとなった。もがききって対岸に着いたのであろう彼らは、苦しみやしんどさから少し離れたところからそれらを歌っている。藤原基央の歌い方も優しくなった。一度優しくなりすぎて猫なで声となり、ちょっと気持ち悪くなったけど、最近はうまいバランスになってきた。そんな印象を受ける。
平成一桁生まれの僕らはBUMP OF CHICKENリアルタイム世代かといえば、実はそうじゃない。BUMP OF CHICKENが1番ノリノリだったころに音楽に目覚め、そこから過去に遡っていった世代だ。つまり、とげとげしかった藤原基央に焦がれた世代である。棘が取れて丸くなった藤原基央をいつまでどう受け入れているかで、「僕らのバンプ」の時期が変わってくる。
ごく個人的なBUMP OF CHICKEN観であるが、4枚目のアルバム「ユグドラシル」こそがBUMP OF CHICKENの到達点だと考えている。食べごろ極まりないBUMP OF CHICKEN。
そして5枚目の「orbital period 」で熟れ過ぎたメロンの如き熟し方に達し、6枚目の「COSMONAUT」で一度腐って落ちる。落下した果実は7枚目の「RAY」にて大地に再び芽吹き、8枚目「butterflies」で新たな木になろうとする。
ざっくりだが、こんなバンプ観である。
すると、どこまでが「僕らのBUMP OF CHICKEN」かというと、5枚目「orbital period」までなのである。
多分十人十色のBUMP OF CHICKEN観があり、十人十色の「僕らのBUMP OF CHICKEN」が存在する。平成二桁でBUMP OF CHICKENに惚れ込んだ世代もいるはずで、彼らにとっての「僕らのBUMP OF CHICKEN」は6枚目以降のBUMP OF CHICKENなのかもしれない。