徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

嘔吐下痢

なんとなくムカムカしている。昨日の飲酒が原因か、それとも今日何かマズいものでも食べただろうか。ビオフェルミンでも適当に服めば治るだろう。ビオフェルミンはすごい。乳酸菌ってすごい。

 

ところで、嘔吐下痢という忌々しい病気がある。

幼稚園の頃に罹ったことをよく覚えている。上下水道の完全崩壊であった。全くもって我慢できない吐き気。父に抱っこされながら、あきやまこどもクリニックの駐車場であえなく吐いたことを今でも鮮明に覚えている。

最近でこそ、ノロウイルスだ、ロタウイルスだ、急性胃腸炎だとかの名前がついているが、一昔前まではそれらを総称して嘔吐下痢症としていた。

嘔吐下痢。

嘔吐下痢症。

あまりにストレートすぎるネーミングではなかろうか。嘔吐と下痢が主症状であるから、嘔吐下痢。症状名がまんま病名になっている。

このメカニズムを応用すると、花粉症やハウスダストなどに起因するアレルギーは「くしゃみ鼻水症」であるし、ストレス性であったりアニサキスによるそれは「腹痛症」だ。見たまんま。

 

運動の前に体操をするだろう。急に走り出したら怪我をするのでね、大事です体操。

オーソドックスな体操メニューを思い起こしてほしい。一番最初に何をするか。屈伸から始まることが多いのではなかろうか。

屈伸。

屈んで、伸びる。だから屈伸。

わかる。わかるが、わからない。動作じゃん。それ、動作じゃん。屈伸と言われて、誰もが膝に手を当ててしゃがみ、膝を伸ばす。主語がなくとも阿吽の呼吸で執り行われるそれは、一種の儀式のようである。

南無といえば、阿弥陀仏。

屈伸といえば、膝に手を当てて伸び縮み。

宗教的な要素すら見え隠れする。

 

そのくせ、伸脚は分かりやすい。脚を伸ばす。レ点を入れたらすぐに文章ができる。

 

と思えば、アキレス腱。

アキレス腱。

今度は部位だけときた。屈伸は動作だけだったが、今度はアキレス腱である。

アキレス腱をどうしろと。

「…風呂」

と旦那が一言いうだけで奥さんがお風呂にお湯を張ってくれるような亭主関白極まりない家庭じゃあるまいに、

「…アキレス腱」

と言われただけじゃ何をしていいのやらわからない。わからないはずなのに同調圧力のなせる技か、刷り込みの魔術にかかったか、皆アキレス腱をうんうんと伸ばしだす。

とにかく、今場所の安美錦には是非頑張ってもらいたい。

 

ビオフェルミンを服まずとも、適当にキーボード叩いているうちにムカムカは治った。風呂でも入ろうと思う。

「風呂。」

と呟いてみるも、聞いているのは僕だけであった。