徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

BiSH「HiDE the BLUE」MV感想 アイナ・ジ・エンドを超えてゆけ

多分、誰もが思う。オーケストラと同じ沿線にある曲だと。

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松隈ケンタ、scrambles。コンポーザーが同じだとやはり曲調は似通って行く。小林武史が作った曲はどれも同じように聞こえてしまうのと同じだ。オーケストラ、プロミスザスター、Nothingsのような、ピアノとストリングスが入っているような王道ギターロック。どれもいい曲だが、シーフードカレーもビーフカレーもチキンカレーも全部美味しいみたいな話だったりする。

 

今回のHiDE the BLUE。

他のロックバラードと何が違うかといえば、アイナ・ジ・エンドへの依存度であると思う。

BiSHにおけるアイナの力は絶大なものがある。あのカサカサした声質と安定した歌唱力。ZIPに取り上げられた時もアイナがメインだったし、何より普段の歌割りも圧倒的に多い。サビといえばチッチとアイナが交互に歌うのがBiSHのパターンである。

しかしHiDE the BLUEにおいては違う。アイナの歌割りが特別に多いこともなく、6人が比較的満遍なく歌っている。そして、特段の違和感も感じられない。

モモコグミカンパニー、リンリン、アツコあたりの歌唱力が本当に向上した。モモコとかすごい。ライブ映像で被せしか聴こえていなかった頃のモモコとは全く違う。声張れるモモコになっている。他二人もかつてはCD音源ですら明らかに浮いていたのに、今や普通に聴けてしまう。

結局、歌である。人間においての顔みたいなもので、曲を聴く時も僕たちは歌に注目する。これまでオーケストラ、プロミスザスター、Nothingsとアイナに引っ張られていた。すなわち、曲の顔はアイナだったのだ。HiDE the BLUEも同じロックバラードだけれど、曲の顔がアイナじゃなくなった。6人の顔になった。これはBiSHにとっての大きな成長だと思う。

 

歌割りが減ってアイナの存在感が減ったかといえばそうでもなくて、間奏でのダンス辺りにアイナの努力が見て取れる。

振り付けを一手に引き受けているアイナ。これまで「本当本気」とかでガチムチのダンスを披露してきたが、BiSHのみんなで踊るサビの振りとかは本当にわかりやすく、言ってしまえばお遊戯に近い振りが多かった。それはみんなで踊れるからといった面もあったろうし、BiSHメンバーのダンスクオリティの問題でもあったろう。

本曲間奏のダンスもほぼ間違いなくアイナのものだ。アイナの振りを、お遊戯じゃないダンスを、BiSHがきちっと踊っている。立派だとしか形容し得ない。これまでチームを牽引してきた存在に、全体がだいぶ近づいてきた、そんな印象を受けた。

 

大ヒット曲、オーケストラと同じ文脈で聴き得るHiDE the BLUEだからこそ、それぞれの成長、BiSHの成長がよく見て取れるMVであった。

一抹の不安は、松隈ケンタ氏の引き出しである。そっくりな曲調には違いない。これは狙ってやったのか,タイアップ用の書き下ろしだから無難に走ったのか、それとも。

でもまぁきっと、しれっとすごい曲を作るんだろうなと思う。

これからも楽しみは続く。

 

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